【立山・雄山】初めてのテント泊は失敗だらけ!大雨撤収と激重ザックのデビュー戦

「そろそろ、テント泊デビューしてみない?」。そんなひとことから始まったのが、今回の山旅です。行き先に選んだのは、北アルプス立山連峰の主峰・雄山(おやま・3,003m)。テント泊の聖地とも呼ばれる、あの雷鳥沢キャンプ場に泊まる計画です。
この日のために、約2ヶ月前からテントや寝袋などの装備を少しずつ買いそろえてきました。65リットルの大型ザックにテント泊装備を詰め込んで、金剛山や八経ヶ岳へトレーニングにも出かけました。それでも慣れないせいか、肩がどうしても痛いんです。テントを張る練習も、近くのキャンプ場で一回だけ。正直、不安のほうが大きい初テント泊への挑戦でした。

しかも2020年の9月といえば、コロナ禍の真っただ中。立山黒部アルペンルートも春には長い休業があり、ようやく動き出したばかりの頃でした。「今年はどこにも行けないかも」と思っていただけに、この山行にかける気持ちはひとしおです。
結論から言うと、初めてのテント泊は大成功……とは言えませんでした。でも、だからこそ忘れられない山行になったんです。
📋 結論からひとこと
初めてのテント泊で立山・雄山に登頂。絶景と雷鳥に出会えた一方、大雨のテント撤収と激重ザックにヘロヘロになった、失敗だらけのデビュー戦でした。
それでも「行ってよかった」と心から思える2日間。これからテント泊を始める方の反面教師になれば幸いです。
立山・雄山って、どんなところ?
日本三霊山のひとつ、憧れの3,000m峰
立山(たてやま)は、富山県にある北アルプス北部の名峰です。じつは「立山」という単独の山頂はなく、雄山(3,003m)・大汝山(おおなんじやま・3,015m)・富士ノ折立(ふじのおりたて・2,999m)の3つのピークを合わせた総称なのだそうです。日本百名山にも選ばれています。
富士山・白山とならぶ日本三霊山のひとつとも言われていて、雄山の山頂には雄山神社の峰本社が祀られています。山頂に神社があるなんて、いかにも霊山らしいですよね。

そして立山のすごいところは、標高2,450mの室堂(むろどう)までケーブルカーとバスで上がれてしまうこと。3,000m峰のなかでは比較的挑戦しやすい山として、私たちのような初心者夫婦にも人気です。とはいえ、一の越から山頂まではガレ場の急登。決して「楽々」ではありませんでした。
2020年当時のアクセス事情(コロナ禍の立山)
私たちが訪れた2020年は、新型コロナの影響でアルペンルートも大変な年でした。例年なら春の「雪の大谷」で賑わう時期の4月18日から営業休止となり、6月19日にようやく営業を再開したそうです。再開後も、ケーブルカーやバスは乗車定員を減らしての運行で、車内はマスク着用。乗り物の窓が開けられていたのを覚えています。
マイカーの場合、富山県側の玄関口は立山駅です。駅周辺には無料の駐車場が複数あり、合わせて900台ほど停められると言われています。平日だったこともあってか、この年は例年より人出が少なく、駅近くにすんなり停めることができました。
今回の山行データ(YAMAPより)
📊 今回の山行データ(YAMAPより)
| 項目 | データ |
|---|---|
| 山名 | 雄山(3,003m)・大汝山(3,015m)・富士ノ折立(2,999m) |
| 日付 | 2020年9月3日(木)〜4日(金)・テント泊1泊2日 |
| 活動時間 | 11時間56分(2日間合計) |
| 歩行距離 | 約12.5km |
| 累積標高差 | ↑1,083m ↓1,091m |
| コース難度 | ふつう(一の越〜山頂はザレ・ガレ場の急登。テント泊装備なら体力に余裕を) |
数字だけ見ると「1泊2日ならゆったり」に見えますが、テント泊装備を背負っての行動は、日帰りとはまるで別物でした。その理由は、このあとたっぷりお話しします。
1日目:初めてのテント泊、雷鳥沢キャンプ場へ
ケーブルカーとバスを乗り継いで室堂へ
立山駅を出発したのは、朝9時ごろ。まずはケーブルカーで美女平へ、そこから高原バスに乗り換えて、10時過ぎに室堂ターミナルに到着しました。


ターミナルの外に一歩出ると、目の前に迫力の立山連峰。「うわあ……」と、ふたりして言葉を失いました。初めての立山は、想像していたよりずっとスケールが大きくて、雄大な景色に圧倒されっぱなしです。

みくりが池のほとりを通り、地獄谷の噴気を横目に見ながら、雷鳥沢キャンプ場を目指します。どこを切り取っても絵になる景色のなか、重いザックのことも忘れて(いや、肩は痛かったのですが)歩きました。





ぎこちない手つきで、初めてのテント設営
11時半ごろ、雷鳥沢キャンプ場に到着しました。目の前に立山、振り返れば奥大日岳。テント泊の聖地と呼ばれるのも納得のロケーションです。

受付で野営の申し込みを済ませます。当時の幕営料は1泊500円だったと記憶しています。この年はコロナ対策で受付所に入れる人数も制限されていて、なんだか物々しい雰囲気でした。
さて、いよいよ人生2回目(練習を入れて)のテント設営です。「これで合ってるのかな?」「ポールってこっちだっけ?」と、ぎこちない手つきでああだこうだ。正解かどうかもわからないまま、なんとかテントを張り終えました。ベテランさんたちのテントと見比べては、ちょっと不格好な我が家に苦笑いです。

明日に備えて下見、そしてテントで晩酌
時間はたっぷりあったので、明日の立山登頂に向けて、途中まで下見に出かけることにしました。荷物なしで歩く登山道の、なんと軽やかなこと!明日歩くルートのイメージもつかめて、少しだけ不安が和らぎました。

夕飯はロッジ立山で軽く済ませて、テントに戻って晩酌タイム。ウイスキーとおつまみで、のんびり過ごします。山のテントの中で飲むお酒は、想像していた以上においしいものですね。「テント泊、いいかも」なんて、このときはまだ余裕の笑顔でした。

🕐 1日目のタイムライン
9:00ごろ 立山駅を出発
ケーブルカー→高原バスと乗り継ぎ
10時過ぎ 室堂に到着
初立山のスケールに圧倒される
11:30ごろ 雷鳥沢キャンプ場に到着
ぎこちない手つきで初テント設営
午後 明日のルートを途中まで下見
荷物なしの体の軽さに感動
夕方 ロッジ立山で夕飯→テントで晩酌
ウイスキーとおつまみでのんびり
2日目:いざ、雄山山頂へ
朝5時半、アタックザックで出発
翌朝は5時半ごろ、アタックザックに必要な荷物だけを詰めて、立山に向けて出発です。テントと重い荷物はキャンプ場でお留守番。身軽になった体で、朝の澄んだ空気のなかを歩き出します。


比較的ゆるやかな登山道を歩いて、7時ごろ一の越山荘に到着しました。ここでトイレ休憩を済ませて、いよいよ雄山山頂への登りにとりかかります。

ザレ場・ガレ場の急登を慎重に
一の越から先は、それまでとは一変。ザレ場・ガレ場の急な登りが続きます。浮石に気をつけながら、一歩一歩慎重に高度を上げていきました。

途中でふと振り返ると、室堂平から私たちのテント場まで、歩いてきた道のりがぜんぶ見渡せました。「あそこから歩いてきたんだね」。そのご褒美のような景色に、疲れも少し和らぎます。


そして8時40分ごろ、ようやく雄山山頂(3,003m)に到着!初めての立山、初めてのテント泊での3,000m峰です。山頂には雄山神社の峰本社が建っていて、霊山らしい厳かな雰囲気に包まれていました。




縦走開始、しかし真砂岳手前で撤退
雄山からは、稜線をたどって縦走します。立山最高峰の大汝山(3,015m)、続いて富士ノ折立を経由して、真砂岳へ向かう予定でした。


ところが、空模様がだんだん怪しくなってきました。体力的にも時間的にも「このまま真砂岳まで行くのは無理だろう」と判断し、真砂岳手前の分岐からキャンプ場へ下ることにしました。せっかくここまで来たのに、という気持ちはありましたが、無理をしないのが私たち夫婦のモットーです。

案の定、下り始めると雨がポツポツ。レインウェアを着込みましたが、幸いすぐに止んでくれました。
雷鳥ラッシュの下山路
この下山路で、うれしいサプライズがありました。なんと、雷鳥にたくさん出くわしたんです。天気が悪いと雷鳥に出会いやすくなると言われていますが、本当にその通りでした。さすが「雷鳥沢」の名を持つ場所です。

下山ルートもザレ場が多く、雷鳥に癒やされつつも足元は慎重に。11時半ごろ、無事テント場に戻ってきました。「おつかれさま!」とテントに帰り着いて、ホッとひと息……つく間もなく、本日の試練が始まります。

まさかの大雨!試練のテント撤収と帰り道
初心者、大雨のテント撤収にあたふた
テント場に戻った途端、いきなりの大雨!なるべく装備を濡らさないように撤収の準備を進めたのですが、やはりまだまだ初心者。手順もぎこちなく、結果的にテントも装備もビショビショにしてしまいました……。
なんとかザックに詰め込み終えたものの、持ち上げてびっくり。ザックが、重い!雨をたっぷり吸ったテントのせいで、行きよりも明らかに重量が増していました。
10歩あるいては休憩、ヘロヘロの帰り道
雷鳥沢キャンプ場から室堂へは、帰りが登りになります。この登りが、かなりきつかった……。10歩あるいては立ち止まり、ザックを下ろして肩を休める。その繰り返しです。
今思えば、行動食もろくに取っていませんでした。この日食べたのは、雄山山頂でのカロリーメイトぐらい。エネルギー切れの体に濡れて重くなったザックという、初心者らしい失敗のフルコースです。
ヘロヘロになりながら、13時半ごろ、なんとか室堂ターミナルに帰ってきました。ふたりとも、しばらく無言だったのは言うまでもありません。
⚠️ 初テント泊の反省点
①行動食はこまめに取る(シャリバテは本当に動けなくなります)。②雨天の撤収手順は事前にイメージしておく。③濡れたテントは想像以上に重くなるので、防水袋やゴミ袋を多めに用意しておくと安心です。私たちの失敗が、どなたかの参考になれば……!
🕐 2日目のタイムライン
5:30ごろ アタックザックで登山開始
テントはキャンプ場でお留守番
7:00ごろ 一の越山荘
トイレ休憩して山頂へ
8:40ごろ 雄山山頂(3,003m)に到着
大汝山・富士ノ折立へ縦走
真砂岳手前の分岐から下山・雷鳥ラッシュ
天候・体力・時間を考えて撤退を判断
11:30ごろ テント場に帰着→大雨の中の撤収
装備びしょ濡れ、ザック激重に
13:30ごろ ヘロヘロで室堂に帰着
10歩あるいては休憩の繰り返しでした
🏔️ まとめ
初めてのテント泊は、ご褒美の景色あり、雷鳥あり、そして大雨の撤収と激重ザックありの、忘れられないデビュー戦になりました。うまくいかないことだらけでしたが、雷鳥沢のテントで飲んだウイスキーの味と、雄山山頂からの景色は、今でも鮮明に覚えています。
立山・雄山は、室堂まで乗り物で上がれるぶん、テント泊デビューにもおすすめの山です。ただし、行動食と雨対策だけは、私たちを反面教師にしてしっかり準備していってくださいね。
