【蝶ヶ岳】残雪期の横尾ルートは想像以上の急登!槍・穂高を望む蝶ヶ岳ヒュッテ泊

2023年5月中旬、残雪の残る北アルプス・蝶ヶ岳(ちょうがたけ)へ、夫婦で1泊2日の小屋泊登山に行ってきました。宿泊は、稜線の上に立つ蝶ヶ岳ヒュッテです。
ルートを決めるとき、ふたりでこんな会話をしました。「横尾からのルートって距離が短いんやって」😗「じゃあ登りはそっちにして、下りは長塀尾根にしよか」。🥲今思えば、ずいぶん軽い気持ちでした。
ところがこの横尾ルート、標高差約1,000mをほぼまっすぐ登る急登の連続。しかも5月の山道には残雪が待っていました。
結論から言うと、この登りは私たちの登山史上でも指折りのきつさでした。それでも稜線に出た瞬間に広がる穂高連峰の大絶景に、疲れが一気に吹き飛んだのです。
📋 結論からひとこと
残雪期の横尾ルートは想像以上の急登で、アラフィフ夫婦にはかなりハードでした。
それでも蝶ヶ岳ヒュッテから望む槍・穂高連峰の大パノラマと、大キレットに沈む夕日は一生モノ。がんばった甲斐がありました。
蝶ヶ岳って、どんなところ?
槍・穂高連峰の大展望台
蝶ヶ岳は、北アルプス南部の常念山脈にある標高2,677mの山です。長野県の松本市と安曇野市の境にあります。
山頂一帯はなだらかで、梓川をはさんだ向かい側に、槍ヶ岳から穂高連峰までがずらりと一望できます。「北アルプス屈指の展望台」とも言われる、展望自慢の山です。
山名の由来は、雪どけの時期に山肌へ蝶の形の雪形が現れることから、と言われています。残雪期ならではの名前なんですね。
主な登山ルートは3つ
蝶ヶ岳への主なルートは、大きく分けて3つあります。安曇野側の三股(みつまた)からのルート、上高地から徳沢を経て樹林帯を登る長塀(ながかべ)尾根ルート、そして上高地から横尾まで進んで一気に稜線へ上がる横尾ルートです。
今回私たちは、横尾ルートで登って長塀尾根で下りる周回プランにしました。横尾ルートは距離こそ短いものの、標高差約1,000mをほぼ直登する健脚向きのコース。それを知るのは、登り始めてからのことでした……。

今回の山行データ(YAMAPより)
📊 今回の山行データ(YAMAPより)
| 項目 | データ |
|---|---|
| 山名 | 蝶ヶ岳(標高2,677m)・長塀山(標高2,565m) |
| 日付 | 2023年5月16日〜17日(1泊2日・小屋泊) |
| 活動時間 | 18時間6分 |
| 歩行距離 | 約29.1km |
| 累積標高差 | ↑約1,455m ↓約1,456m |
| コース難度 | きつい |
1日目 前半:上高地から横尾へ、まさかの炎天下ウォーク
朝7時、上高地バスターミナルを出発
朝7時ごろ、上高地に到着しました。河童橋から見上げる穂高の山々に、朝の澄んだ空気。「今日はいい日になりそうだね」と、ふたりとも足取り軽く歩き始めます。

明神、徳沢と、梓川沿いのほぼ平坦な道を順調に進みます。このあたりは観光の方も多く歩く気持ちのいい散策路で、まだ余裕たっぷりでした。

新村橋の工事で河原の迂回ルートへ
ところが徳沢を過ぎたあたりで、いつもの登山道が通行止めに。新村橋(しんむらばし)の架け替え工事のため、迂回ルートを歩くことになりました(2023年5月当時)。

仮設の橋を渡って、梓川の河原沿いの道へ。ここが日差しを遮るものが何もないルートで、5月とは思えないカンカン照り。ジリジリと体力を削られながら、11時前にようやく横尾に到着しました。


ちなみに新村橋は、車も通れる橋への架け替え工事が進められているとのことでした。迂回路の状況は時期によって変わるようなので、歩かれる際は最新情報をご確認ください。
横尾で小休止、いよいよ登山道へ

横尾は、涸沢・穂高方面と蝶ヶ岳方面の分かれ道。多くの登山者は横尾大橋を渡って涸沢へ向かいますが、私たちは橋を渡らず、蝶ヶ岳方面の登山道へ入ります。

横尾山荘の前でしっかり休憩して、エネルギーを補給。「ここからが本番だね」なんて言いながら、このあと待ち受ける試練をまだ知らないふたりでした。
1日目 後半:横尾からの急登と残雪に大苦戦
標高差約1,000mをほぼ直登
横尾(標高約1,620m)から稜線上の横尾分岐(標高約2,625m)までは、標高差約1,000m。コースタイム約4時間を、樹林帯の中ほぼ直登で登っていきます。

登り始めて30分ほどのところには「槍見台」という展望スポットがあり、木々の間から槍ヶ岳が望めます。……が、正直に白状すると、この登りの記憶は「ひたすらきつかった」ばかり。途中の写真を撮る余裕は、まったくありませんでした。

残雪でさらにペースダウン
標高が上がると、登山道に残雪が出てきました。チェーンスパイクを装着して、慎重に登ります。量は多くないものの、急登との組み合わせで体力の消耗が倍増します。

「距離が短いから」という理由でこのルートを選びましたが、考えが甘かったです。距離が短いということは、それだけ一気に登るということなんですよね……。
⚠️ 残雪期の注意点
残雪期の横尾ルートは、チェーンスパイクなどの滑り止めが必携です。雪の量や状態は年や時期によって大きく変わるので、山行前に山小屋の情報やYAMAPの最新の活動日記で必ず確認しましょう。
15時半、ようやく稜線の横尾分岐へ
チェーンスパイクの力も借りて、15時半ごろ、ようやく常念岳方面と蝶ヶ岳方面の分岐に到着しました。ここまで来れば、待ちに待った稜線です。


分岐で出会った、同じルートを登ってきた方も「こんなにきついとは思わなかった。聞いてたのと違う……」と、私たちと同じ感想だったようです。ちょっとホッとしました(笑)。

分岐から蝶槍に立ち寄ることもできましたが、時間もギリギリ、体力も限界。迷わず今日の宿、蝶ヶ岳ヒュッテへ向かいます。
16時半、蝶ヶ岳ヒュッテに到着
分岐からヒュッテまでは、なだらかな稜線歩き。のはずなのですが、疲れすぎたふたりには、この道のりが非常に長く感じられました。

それでも天気は最高。右手に広がる穂高連峰の姿に励まされながら、16時半、ようやく蝶ヶ岳ヒュッテに到着しました。

蝶ヶ岳ヒュッテの夜は、大キレットに沈む夕日
チェックインして、すぐに夕食
到着後すぐにチェックイン。あまりゆっくりする間もなく、夕食の時間になりました。疲れた体に、温かいごはんが染みわたります。

雲ひとつない夕暮れの稜線散歩
食後は外に出て、周辺をのんびり散歩しました。蝶ヶ岳の山頂は、ヒュッテからすぐのところにあります。


この日は雲ひとつない快晴。大キレットに沈んでいく太陽を、ずっと眺めていました。あの急登の苦しさが、すっと報われていくような時間でした。


🕐 1日目のタイムライン
07:07 上高地バスターミナルを出発
河童橋を渡り梓川沿いへ / 快晴
08:05 明神
小休止して先へ
09:25 徳沢
この先から新村橋工事の迂回ルートへ
10:35 横尾
休憩後、蝶ヶ岳への急登へ
15:30ごろ 横尾分岐(稜線)
常念岳方面との分岐 / 穂高の大展望
16:30 蝶ヶ岳ヒュッテ到着
夕食後、大キレットに沈む夕日を鑑賞
2日目:快晴の長塀尾根をのんびり下山
モルゲンロートはお預け
翌朝は、朝日に染まる穂高連峰=モルゲンロートを期待していたのですが、残念ながら見ることはできませんでした。

「こればっかりは運やな」🥲「また来る理由ができたってことで」😁。そんなことを話しながら、下山の準備を進めます。
大パノラマの下山
7時ごろ、下山を開始。雲ひとつない快晴🤩

山頂で最後の大パノラマを目に焼きつけて、穂高連峰を右手に見ながら稜線をあとにします。下りは長塀山(ながかべやま・標高2,565m)を経由する長塀尾根ルート。樹林帯の残雪に気をつけながら、淡々と下っていきます。




徳沢でご褒美休憩、そして上高地へ
10時40分ごろ、徳沢に到着。ここで1時間ほど、のんびりご褒美休憩です。緑の芝生と穂高の景色は、何時間でもいられそうな心地よさでした。


帰りは明神から梓川の対岸の遊歩道へ。嘉門次小屋や岳沢湿原を眺めながら、15時前に上高地バスターミナルへ戻りました。
🕐 2日目のタイムライン
07:00ごろ 蝶ヶ岳ヒュッテを出発
ガスが晴れて快晴に
07:05 蝶ヶ岳山頂
最後の大パノラマを満喫
07:52 長塀山
樹林帯の残雪に注意しながら下る
10:40 徳沢
約1時間のご褒美休憩
12:45 明神
対岸の遊歩道で岳沢湿原へ
14:55 上高地バスターミナル到着
1泊2日の山旅、無事下山
🏔️ まとめ
「距離が短い=楽」ではない。それを身をもって学んだ山行でした。残雪期の横尾ルートは、へっぽこ夫婦には大きな挑戦でしたが、稜線で待っていた槍・穂高の大パノラマと、大キレットに沈む夕日は、きつい登りを忘れさせてくれるご褒美でした。
蝶ヶ岳は、北アルプスの展望をたっぷり味わえる山です。体力に自信のない方は、長塀尾根の往復や三股からのルートも検討してみてください。残雪期はチェーンスパイクなどの装備と、最新の雪の情報の確認をお忘れなく。蝶ヶ岳ヒュッテに泊まれば、夕日も朝焼けも狙えますよ。
